厚生労働行政
▼厚労省は10月から実施する主な制度変更の内容を公表。医療関係では、後期高齢者医療制度の窓口負担割合が2割となる一定以上所得者について、外来の負担増加額を3000円までに抑える配慮措置を9月30日で終了。10月1日からは、外来医療費全体額が9万円まで2割の窓口負担、9万円超は高額療養費の外来特例による上限額1万8000円の窓口負担となる。雇用・労働関係では、最低賃金の改定として、都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が10月1日以降順次改定され、全国加重平均は1121円に(P.20)
医療・医療保険
▼全総協は9月24日、定例総会を開き、2024年度事業報告案及び収入支出決算案等を了承。全総協会員243組合の24年度決算概要をみると、経常収支差は230億円の黒字に。鈴木一行会長は、「被保険者1人当たりにすると3千円程度に過ぎず、とても経営環境が改善したという状況ではない」と指摘(P.38)
▼中医協・診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は9月25日、修文を座長に一任したうえで、「とりまとめ」を了承。「中間とりまとめ」後にまとめた2025年度実態調査の結果等も踏まえ、検討した内容を整理。「重症度、医療・看護必要度」については、内科系症例を底上げするために、救急医療や緊急入院を評価する案について議論したこと等を示す(P.22)
▼健保連は9月25日、記者会見を開き、2024年度健康保険組合決算(見込み)集計結果を公表。経常収支差引額は145億円の黒字に。30年ぶりの高い賃金上昇に加え保険料率の引上げにより保険料収入が大きく増加(対前年度比4.9%)した一方、新型コロナの特例措置の廃止等により保険給付費の伸び(同1.3%)が低調であったが、佐野雅宏会長代理は、保険料率の引上げがなければ赤字であり、「財政状況は大変厳しい状況である」と強調(P.6)
▼健保連は9月25日、「『ポスト2025』健康保険組合の提言」(新提言)を公表。加入者への3つのお願い、健保組合の4つの約束、健保組合が取り組む5つのチャレンジを示すとともに、国に対して、負担の公平性の確保や保険給付と公費(税)の負担構造の見直し、保険給付の見直し等の実行を求めている(P.13)
▼健保連は9月25日、2024年度の高額医療交付金交付事業における高額レセプト上位の概要を公表。24年度に発生したレセプトのうち、1か月の医療費が1000万円以上の高額レセプトの件数は2328件で、前年度の2156件から172件増加(対前年度比約8%増)で過去最多を更新(P.44)
▼社保審・医療保険部会は9月26日、①医療保険制度改革、②2026年度診療報酬改定の基本方針、③高額療養費制度について、厚労省事務局提出の資料をもとに議論。改定の基本方針は、これまでと同様「改定に当たっての基本認識」、「改定の基本的視点と具体的な方向性」で構成し、基本的視点には物価や賃金、人手不足などの医療機関を取り巻く環境変化への対応や、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上を盛り込むことを例示(P.18)
時事評論
賃上げは市場圧力で
日本赤十字社社長 清家 篤
論 壇
台湾の介護システムの公民負担
―国際基準の保健医療統計から―
城西国際大学教授 小島 克久