週刊社会保障 2025.6.16 No.3321

国  会

▼参院本会議は6月4日、福岡厚労相から年金制度改正法案の趣旨説明を聴取し、石破首相出席の下、質疑。石破首相は「幅広い世代の基礎年金の給付水準の確保を可能にする内容」との見解を示す。参院厚労委は5日に福岡厚労相及び修正案提出者から趣旨説明を聴取、同日と10日に質疑を行った(P.6)

社会保障全般

▼厚労省は6月4日、2024年の人口動態統計月報年計(概数)を公表。出生数は68万6061人で過去最少、死亡数は160万5298人で過去最多となり、出生数から死亡数を引いた自然増減数は過去最大91万9237人の減少(P.16)
▼自民・公明・維新の三党は6月6日、社会保障改革に関する実務者協議で、医療法等改正案に関連する事項について合意。11日に、三党の幹事長、政調会長が「骨太方針2025」に反映する事項について合意。OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し、新たな地域医療構想に向けた病床削減、医療DXを通じた効果的で質の高い医療の実現、地域フォーミュラリの全国展開等が柱(P.23)
▼諮問会議は6月6日、「骨太方針2025」原案を議論。社会保障分野では、歳出改革努力を継続しつつ、医療・介護等の公定価格の引上げや経営の安定等が図られるよう、「的確な対応を行う」とした。社会保障関係費では、高齢化や高度化等による増加分と経済・物価動向等を踏まえた対応による増加分を「自然増」とみなす新たな考えを示す(P.18)
▼新しい資本主義実現会議は6月6日、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」案をとりまとめ。石破首相は「賃上げこそが成長戦略の要」と強調し、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」を進めていく方針を示す。改訂版案では、29年度までの5年間で、実質賃金で年1%程度の上昇を賃上げのノルム(社会通念)として定着させると宣言(P.14)
▼自民・厚労部会は6月9日、「骨太方針2025」原案、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」案、「規制改革実施計画」案の厚労省関係部分について、厚労省から説明を聴取し、意見交換。「骨太方針2025」原案の社会保障関係費に関し、経済・物価動向等への対応、消費税の増収分の活用等で意見が出される。また、厚労省は「2025年版厚生労働白書」案を提示(P.19)

医療・医療保険

▼自民・健康・医療情報システム推進合同プロジェクトチームは5月27日、「『医療DX令和ビジョン2030』の実現と医療DXの進化に向けた提言」をとりまとめ。医療DXの新たな取組みとして、クラウド・ネイティブなシステムへの移行促進、「病院DX」の取組みの支援等を要求(P.20)
▼厚労省は5月30日、「2023年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況」を公表。特定健診実施率は対前年度1.8ポイント増の59.9%、特定保健指導実施率は同1.1ポイント増の27.6%に上昇(P.38)
▼国民医療推進協議会は6月4日、総会で決議を採択。「骨太方針2025」のとりまとめに向け、①経済成長の果実の活用、②社会保障予算の目安対応の見直し、③賃金・物価の上昇に応じた公定価格等への適切な反映、④小児・周産期体制の強力な方策の検討への対応を求める(P.15)

時事評論

地域共生社会の在り方検討会議中間とりまとめ
早稲田大学理事・教授 菊池 馨実

論  壇

タイにおける公的障害者介護制度
東京経済大学教授 中川 純

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